悩み解消

ここがどこか解らないと泣き出すAさん

私が以前勤めていた特別養護老人ホームは、主に車イス生活の方や認知症でひとり暮らしができない方、家庭の事情で短期間だけ(1週間〜1ヶ月程度)などの期間限定で入所される方などがいらっしゃいました。

 

ほとんどの方が介護度3〜5ですが、どちらかというと介護度4〜5の方が多い階で勤務していたのですが、そこで出会ったのがAさんでした。

 

Aさんは私が出会った時には普通のおばあさんだなと感じったのですが、お世話をするうちに少しづつどのような状態なのかが解ってきました。

 

私達がお世話をしていた方達は、ほとんどの方が生活のすべてにおいて介助が必要な方達ばかりだったのですが、なかでもAさんは手間のかかることで有名な方でした。

 

その手間というのが、食事の後少し眠るといって休まれるのですが、そこからおやつの時間になったので起こしに行くと「ここはどこ?私は誰?」とパニック状態になってしまうのです。

 

寝ている時も、コールボタンに呼び出されて行ってい見ると「さびしい、私は誰?ここはどこ?」としょっちゅうコールがかかり、夜勤の時など仮眠も仕事も進まない状態になるのです。

 

ふと目覚めた時、自分が誰なのか?ここがどこなのかわからないという状態は、本人さんにとってはこのうえない恐怖なのだろうと思いつつ、夜勤の時は寝る前に毎回「今夜は私がいますから、Aさんが誰か解らなくなってもまた教えますからね」と毎回言っていましたが、施設を辞めた現在でも、まだAさんは自分のことが解らない恐怖にさいなまれているのかなと思うと、せつなくなります。

 

(長崎県/てんさん)